●OT at NR


奥田民生なら100年会館



今回のツアーの関西篇、最初の地となる奈良。
100年会館というところに行ったことがなかったので、その見学も兼ねての遠征。


会館はオープンから10年になるということだが、とてもきれいである。
大事に使われているのか、利用頻度が抑えられているのか……たぶん両方だと思うが。
JRの奈良駅から徒歩1分。
その奈良駅までは大阪駅から大和路快速で48分。天王寺乗り換えでも1時間。
大阪の会館がどんどん閉館していく現状を考えると、利用は増えていくかもしれない。
休日の開催なら、午後早めに来て近所の奈良町(江戸時代の街並みが残っているとして観光名所にもなっている)めぐりでもして、ライブを観て帰るというのも悪くない。


さて、OTのライブ。
ツアーバンドがこの4人編成になって、もう3年目くらいだろうか。
ただでさえ、「超」のつく手練れ集団である。
技倆のほどは文句のつけようもない。
ギターは全面的に奥田氏ひとりが担っているわけだが、これも見事。
ただし。


ただし、である。
これは贅沢な注文に類することだろうが、毎度、何かが欠けていると感じてしまう。
あるいは何かがありすぎる、のかもしれない。


もともとシャカリキになったりしないところが、奥田民生の最たる魅力のひとつではある。
青筋立てたりしない、汗かいたりしない。
けど、がんばっているー。
そのがんばっているーところは基本見せない。
ふふふと微妙な笑みをたたえて余裕の構え。
宮本武蔵に背後から斬りかかられても鍋ぶたで受ける塚原ト伝
ああゆう風な「刀を抜かない剣の達人」みたいな感じを受ける(ギターはぶん回してるけど)。
それが、なんとも惜しい気がするのだ。
歯がゆいといってもいい。


この日のステージでは、こんなMCも聞かれた。

「(このあいだ出した)アルバム1枚で、あと5年はやっていこうと思っている」
「だいたい、なんで毎年新しいのを出さにゃならんのか」
「ライブは、だいたい2時間。(持ち曲の)全部はやれないわけですから。どんどんやれない曲が増えていくわけです」

全然正しいと思う。
なにも往年の大歌手がやるリサイタルみたいなことをやってほしいというんじゃあない。
ファンからのリクエストを受け付けて選曲決定みたいなダサいことでもない(ストーンズはやってたけど)。
なにせ、あれだけいい曲があるんだから。
「愛のために」「息子」「人の息子」「人間」「手紙」「野ばら」「コーヒー」「恋のかけら」「マシマロ」「The STANDARD」「CUSTOM」「スカイウォーカー」「フロンティアのパイオニア」「なんでもっと」「明日はどうだ」「SUNのSON」...。


あざとくもなく、ファン・サービスというのでもなく。
それらの曲がここぞという時と場所を得て響く−−あたかも教会の鐘のごとく鳴り響く−−みたいな瞬間が見たいのである。
誰彼となく、「いまな、奥田民生のライブ、すんごいことなってるで。わるいこと言わんから観てみ!」とゆうてしまうような、そんなことがしてみたいのである。


贅沢なこと言ってやんでえ、というのは重々承知のうえで、ほざいてみました。



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