●怒髪電光石火


怒髪天企画による、マキシマム ザ ホルモンの対バンライブ《デリバリーブラッサムスペシャル》@アメリカ村BIG CAT。


関西でのライブはこれでしばらく見納めになるマキシマム ザ ホルモンが先攻。
後ろから見ていると、見事にホルモンのでかいロゴが背中に入ったTシャツの波、波、波である。
そろそろ始まるかというあたりで客席エリアは、前の方に詰めかける子たちと後ろにとどまる人たちと、二手に分かれる。
モーセ十戒を横にしたような感じである。


私は後ろの隊列先頭近くの位置にいた。
すぐ前に、女の子のふたり組がいたのだが、前に詰めかけないところをみると、この子たちはじっくりライブを観る気なんだろうな。
……と勝手に思い込んでいたら、とんでもなかった。
客電が落ちるやいなや、右の子が、すっとかがんで足元のバッグからゴムバンドを取り出し、あっという間に髪を束ねた。
と思ったら、演奏のあいだじゅう、あとはもうずっと頭をぐわんぐわん前後に振りまくる。
その都度、ポニーテールは可憐に躍り、私の顔面に迫り、目を直撃し、鼻をくすぐる。
BPMが上がるとスピードは増し、テンポは速まり、アタックも強まる。
一瞬、息ができないくらいである。


しかし、我ながらこの喜劇的状況がよく似合うと思える、愉しいライブ。
若い子たちが、みな川から上がった紅鮭みたいに汗みどろになっていくのも肯ける。
ホルモン、さすがのステージ運び。


会場全体をサウナ風呂みたいに白濁させてホルモンが去り、中休み。
ナヲ嬢がMCチャンスのたびに「怒髪ネタ」に触れるグッドマナーを発揮してくれたおかげもあり、客はほとんどそのままの密度をキープ。
お囃子が流れ、現れた男どもは最高の温度感のなか、コトを始めた。


通常のツアーではないので、セットリストを書いておきます。

01. 不惑 in LIFE
02. N・C・T
03. ロクでナシ
   〈 M C 〉
04. ビール・オア・ダイ
05. 労働コーリン
   〈 M C 〉
06. トーキョー・ロンリー・サムライマン
07. クソったれのテーマ
   〈 M C 〉
08. 全人類肯定曲
09. ドンマイ・ビート
10. NO MUSIC, NO LIFE
11. 酒燃料爆進曲

※ encoreなし


ごらんのとおり、基本、強烈にアゲまくりのセット。
増子兄ィのアクションは、随所でビシリビシリと決まりまくり。
それだけに、中盤の「クソったれのテーマ」が効いた効いた効いた。


なんというか、怒髪天には、ロックバンドならではの“かっちょええダメっぷり”っていうのがある。
観ている方がそこにシビれるか、そこを面白がれるかどうか。
それが大事なところなんだけれど、その感覚がホルモンのファンの琴線とも重なるような気がした。


痛快なステージだったのだけれど、ちょっと泣けて泣けて。
オバマ氏の勝利演説並みにグッと来たときがあった。いや、マジで。
なんつうか、支持者以外にも伝わっていく波動を感じたというか。


年明けの接近戦ツアーも誠に愉しみになってきた。



全人類肯定曲 D-Stance~1999-2004フライトハイトイヤーズ