●アンテナからドラセナへ

だれが「音楽」を殺すのか津田大介・著を一気に読了。
この本の存在は、おとつい、「はてな」のコンテンツに初めて足を踏み入れたとき、id:solar:20040926さんのページで知った。
この本のなかでも後半で少し言及されているFM局で仕事をしている身としては、非常に身につまされる、しかし有意義な問題提起に満ちた本。
作者が持つ“音楽”への熱度とともに、冷静な語り口にひきこまれた。

ラジオは昔、まさしくアンテナだったのである。
世の中に飛び交っている、まだ出会ったことのない音や言葉をキャッチするための。
それがいつのまにか、生活を彩るための、観葉植物みたいなインテリアになった。

そりゃ音楽にはそういう効果だってあるんだ(ろう)から、一概に否定はしない。
けどそればっかというのはイビツだ。
音楽が、生活のスパイスなんかじゃなくて、生活そのものの一部を成す人間にとっては猫が髭を剃られたのに等しいところがある。

もちろん、音楽に出会うためのツールはラジオだけでなく、ほかにもある。
必要以上に、それも感傷的にラジオをまつりあげることにどれほどの意味があるのか、それは、はなはだ疑問。
だけど「ラジオ」をテーマにした曲が、洋邦を問わずに生まれ続けていることを、もうちょっと考えてみてもいい。

「キミの知らないメロディ 聴いたことのないヒット曲」

いま、ラジオでは「聴いたことのあるヒット曲」しか流れない。

ジュディマリ佐野元春やサザンやTeenage FanclubRamonesやRCが歌った“ラジオ”はいまどこで鳴ってる?

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