●緑の夜に金の月


UA @ 梅田芸術劇場 2007/09/26(水)雑感メモ。


植物がいっぱいあるステージ、良し。


うた、良し。グリーンのローブ風ドレス、格好よかった。


バンド、良し。
トロンボーンクラリネット、ユーフォリウムの三管で相当なサウンドの幅を作っている。
内橋和久のギターはアバンギャルドで独創的。
キーボードは無し。
わりとダイレクトに空気を振動させて音を伝える楽器ばかりな気がした。


UAが、コーラスの低いパートと高いパートを歌ってみせて、会場を誘って歌い始めた曲は印象に残った。
私もそっと声を出してみた。
同じ空気を震わせて共振してる感じ。それは心地いいものだった。


個々の曲、良し。
ただ物足りなかったのは曲を並べる構成の部分。
初期の代表曲の挿し挟み方、最新アルバムからの肝になる曲への繋ぎ方など、ネタ明かしになっても済まないので控えるが、そこは個人的に疑問が残った。
俺がベタすぎるのか、もっと演出的な曲の配置をしてもいいのでは、と思った次第。


会場がーーおそらく見た場所がそうだったのであってーー悪くないホールではあるのだろうけれど、
2階からだとステージがずいぶん下の方にあるなという印象。
前に見たのが神戸のクラブ「月世界」だったので、余計に遠さを感じてしまった。
なので、やはりどこかクールに聴こえてしまったということもある。




アンコールでのMCには、違和感を覚えた人もあるかもしれない。


憲法九条改正(改悪)推進派への異議。
青森六ケ所村の核燃料再処理施設が稼働開始を目前としていることへの疑問。
核燃料のリサイクル施設で働く人々の生活への配慮。
などなど、もっと大きな眼で生活を変えていかなければというUAなりのアピールと、署名を集めているという内容だった。


こういう話をされるとすぐ押し付けがましいと受け取り、疎んじる人がいる。
それは分かる。
愉しく踊りに来ただけなのに、重い気分になりたくない、とか。


私も、やや唐突な気はした。
個人的には、環境について思うところはあるが、短絡的なエコロジー志向には同意できないことも多い。


「できることからやっていこう」という掛け声には、果たして何ができて何ができないことなのかの腑分けを曖昧にして、その検証作業をおろそかにしてしまう危険が潜んでいる。
「できることからまず行動を」という掛け声は、往々にして「できそうに思える」ことに傾斜して、結果、見えやすい事柄にばかり批判を集中させる危険性をはらんでいる。
割り箸やポリ袋の使用を控えることと、車移動の機会を抑えることと、どちらがどれだけ地球環境へのプレッシャーを軽減するのか、それは絶えず意識に置いておいて然るべきことだと思う。


ただ、それでも何かを知ることや考えることが悪いことだとは思わない。
だからUAのアピール、3日前のCoccoのアピール、どれも興味深く聴いた。
みんなが思うところを口に出していくのは基本的にはいいことだと思うのだ。
それに対して異論があれば、それはそれで口に出せばいい。
そういうのが、まっとうな社会というのだと思う。


UAがコーラスにいざなっていた曲、「Paradise alley / Ginga Cafe」の一節、
「誰かの戦争ゲームでは 僕らは絶対遊ばない」
そりゃこのほうが、長広舌のアピールより、俄然聴くものの腹に響くのは確かだ。
なによりUAは唄屋だもの。
けれどそうだとしても、だからあのMCが無駄だということにはならないと思う。




表に出て自転車に乗り、空を見上げると薄く切れぎれになった雲の向こうに月がいた。
今夜もなかなかに良い月である。
思い出した。
昨日、月見酒ひっかけるの忘れてた。




  * * *




この話、また続きを書きます。
これで終わりってことにはならない話だろうし。







Golden green