●ひとりで生まれてきたのだけれど


中島みゆきツアー2007@フェスティバルホール
6日間あるフェス公演の初日。


開演前に用を足しに行って驚いた。
女子便所より、男子便所のほうに長い列ができている。
普通のコンサートではまずあり得ない光景。
男客の多さ、それもトイレが近い方々が多いということか。


Tシャツ姿も、ほぼゼロ。
皆さん、ワイシャツかポロシャツである。
たぶん俺でも、かなりの年少組。


ツアーはまだ始まったばかり。
興趣を削ぐといけないので曲目には触れずにおくけれど、古くからのファンもおそらく愉しめる選曲。


開演前にお客さんたちが書いたお便りをロビーで集め、ステージでピックアップする恒例のコーナーがある。
皆、「今日のわたし」てなテーマで書いてくるのだが、これを紹介する手際はさすが。
ラジオでのトークを彷彿させる。


そのなかのひとつーー。

結婚してから21年、それ以前から数えると30年来のみゆきファン。
そして日本酒好きの私だったが、オフコースファンの主人と知り合って、カクテルもいけるようになったのでした。


   (ここで中島女史、ひとこと。「……話、合うんでしょうかね」)


地上の星』から、みゆきファンになった主人は「ナカジマはしっかり世の中を見ている」とエラそうに言う。


   (苦笑)


今日もついて来そうだったので、


   (「来そうだった……ので?」)


中島みゆきのコンサートはひとりで行くものよ。オフコースとはちがうのよ』といって振り切ってきました。


場内は爆笑していたが、たしかに「中島みゆきのコンサートはひとりで行くもの」なのかもしれない。
うがった見方をすれば、全編とおして「ひとりで生きる」ことを歌った曲が多かったように思う。
個人的に“応援歌”の類いは必要ないのだが、淡々とそのあたりをーーひとりで生きていくというあたりのことをーー歌われると、来ますな。





中西康晴氏のピアノ、サウス・トゥ・サウスの頃から好きだ。




二伸
ステージ奥には8人の弦楽隊(チェロが2人とバイオリンが6人)も控えている。
長いライブゆえ、あいだでチューニングが狂ってくる。
2度、鍵盤が出すAの音に合わせる場面があった。


みょーーーーーーーん、と不協和音がして、すぐにそれが、びょーーーーーーん、と合っていく。


調弦するところを見たのは初めてだけれど、あれは気持ちの昂ぶるものですね。
ちょっと胸に来た。
弦に縁ある日々はつづく。