●やむにやまれず駆け出してゆく


YUKI大阪城ホール。2DAYSの2日目。
武道館公演も来月に控えているので演出面のネタバレにはならぬよう、簡潔に感想を。


開場時に気づいたのは、男の子の客がそこそこ散見されるということ。それも男ふたり連れとかだったりする。
2年前の《JOY TOUR》のときは、見た感じ、90%くらい女の子の客ばっかりだった。
大人の女性になってから男のファンを獲得し直すのって、まあ、あんまりないことだと思う。やるなぁ。


このひとの世界観は、ファンタジーだけどダークだし、ダークであってもファンタスティックなのである。
だからヒリヒリしながら、えもしれずワクワクするのだと思う。


キレイでカワイイから若い男子もイカレテしまうのか。
ただのキレイ、カワイイだけじゃないから男女問わず、イザナワレテしまうのか。
かといって女の情念みたいなベクトルには向かわないから、ええオッサンも足をトラレテしまうのか。
女だからって余裕ぶったりしない、そのネイキッドな感じに、誰しもがヤラレテしまうのか。


つくづくオーバーワーク、オーバーアチーヴな(求められる以上のことを成し遂げてしまう)ひとだと思う。
なにかに突き動かされて、やむにやまれず駆け出してゆく。
余力は残さない。のりしろは全部使い切る。
そういうギリギリな感じ、セツナな感じがいつだって漂っている。
たとえ家庭にその居場所を得たとしても、どこかそういう、こう見えたって導火線につながってるぜオイラは的な、ダイナマイトが150屯的な(なんだ、それ)匂いがしてる。


「しゃくしゃく余裕で暮らしたい」というのはその裏っ返しの願望なんじゃないかと思ってみたり。
「JOY」……つまりは「歓喜」なんてタイトルをつけておきながら、「ふたりをつなぐ呪文はJOY」だもの。
なんで“呪文”なんだか、不思議だった。
歓喜」といってもそれは「まじない」の言葉で(知ってた? まじないって漢字をあてると「呪い」なのですよ)、「呪い(まじない)」で「歓喜」と唱えることの、一筋縄で行かなさ具合たるや……。


一昨年の《JOY TOUR》が、いろんな意味で神がかっていたステージだったので、あれと比較するのはむつかしい。
あのときは神戸国際会館を観たけれど、まあとんでもなく凄かった。
前述したギリギリ感の極みだった気がする。
それでも「5年」という時間(俺、個人的にも気になっているターム)の流れを感じさせる、とてもいいライブだった。





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