●AROUND THE CORNER


と、今週はわりと日記らしい日記というか日誌的に書いてみているわけですが、なかなかにワヤクチャな生活を送ってます。
とはいえ、この数日がイレギュラーなのかといえば、普段とそう大して違っているわけではない。
別にパソコンがこわれたくらいで足を取られてるわけではないのです(と思いたい)。


そうこうしていると、ひとまわりほども年の離れた若いDJの子が「いつ寝てるんですか」と訊いてくる。
「眠ってないんじゃないですか」と心配してくれる。
ありがとう。
でもね、ほかにできることの少なくなってきたオジサンは、四の五の考えてる暇がない。
だからそういうことはあまり気にならないんだ。


オジサンだって若い頃はよく考えた。
曲がり角のところで / 考えただろ / どっちに行くべきかなんて ベイベーベイベー (by 忌野清志郎
でもまあ幸か不幸か、もうそんなに若くない。
限定された生活様式を受け入れている次第。


こんな労働/生活パターンだと、たしかに家族や友人には不義理を重ねることになる。
健康だって損なうかもしれない。肌にも悪いだろう。
それはそうなのだけれど、個人としてはそれほど苦ではないのだ。
寝食を忘れてーーとばかりはいかないが、寝たり食ったりをちょいと横に置いといても気にならないくらいにーー没入できることがあるって、ラッキーなことだと思ってる。
燻ってた時期が短くはなかった分、余計にそう思えるのかもしれない。


今週の睡眠時間は、日曜から数えて5日間合わせても20時間を切っている。一日4時間足らずである。
それでも、やるべきことの全体をみると、まるで座礁した巨大な貨物船のように、ちっとも前には進んでない。
頼まれている仕事に手をつけることもできていないし、持ち込みたい企画をまとめることもできてない。
日々の作業に追われている。
ほんとに、20代の頃のうじうじうだうだしている自分が目の前にいたら、時間をまわしてくれと頼みたいところだ。
でもまあ仕方ない。
あの頃に、ある程度、生涯の休暇はまとめて使ってしまったんだろう。


だから年少の子に「ちゃんと眠ってるんですか」と訊かれても、「若いのに睡眠時間のこととか気にしてる場合じゃないよ」というような意地の悪いことは俺は言わない。
若い時期こそ、そういうことがーー人生のスペックみたいなものがーー気になるものなので。
なぜかというと、彼らには可能性があるから。


だから、クルマやカメラを買う前みたいに、ためつすがめつアレコレ考えてみる。
こっちのがいいかな、ああしたほうがいいかな。
こんな機能もあったほうがいいかな、あのオプションもつけてもらおうかな。
なにせ買う前だもの。どんなクルマに乗れるか可能性は未知数なのだから。


しかし、まあこれは経験者ならある程度わかっていただけることかと思うのだけど、実際にある程度、クルマで走ったり写真を撮ったりするようになると、カタログ的なスペックみたいなものはほとんど気にならなくなってくる(そうならないひとも少なからずいるだろうけれど)。
それよりはギアの入るときの感触だとか、取り回しの軽さだとか、ファインダーを覗き込んだときの視界のクリアさ加減だとか、そういう数値化しづらい事柄のほうを重視するようになる。


可能性が減少してくるともいえるし、焦点が絞られてくるともいえる。
けどまあ、とりあえずはそれが、その道具をある程度使ってみるということなのだろう。


それほど眠らなくったって人間は壊れない。
けれど、起きたらいつも河原で石積みをさせられて、積み上がったら鬼がやってきて崩していって、また石を積み上げて、ってなことをやらされていたら、たとえ毎日8時間きっちり睡眠を取っていてもひとは壊れると思う。


数値化されたデータをもとに、どこぞの学者が唱えてることはあんまり当てにはならない。
データを平均化してもそれは君や俺のことを指していることにはならないのだから。


バイトじゃないんだもの(てゆうか、バイトだって実はそうなんだが)、意に染まない仕事でケガしたり病気したりするのはゴメンだけど、そこそこ性分に合った仕事でなら、多少の負荷がかかってくることは甘んじて受けるほかないのではないかな。