●備忘日録:the pillows


NHKのテレビで梁石日が喋っている。
「原稿で食えるようになったのは六十になってから。だからいま四十って人に言うんだ。20年あれば何でもできるぜって」
人生の歩き方 2008年12月ー2009年1 (NHK知るを楽しむ/水)


夜、Billboard Live OSAKAへ。
the pillowsのライブ《BLUE SONG WITH BLUE POPPIES》。
アコースティックセットでのスペシャルなライブである。
一本(一鉢?)1万円という芥子の造花も見事。
サポートベース・鈴木淳の9万円の弓も見事。
山中さわおの5万円のギターも……見事。


オレ如きでは知らない曲がほとんどだったけれど、どれも聴かせる。
おそらく、こんな風な特別な場で自由な選曲を試したいようなときも、もし巨大なヒット曲があったらそれに縛られてしまうだろう。
そういう意味で、皮肉ではなく、万人受けするヒット曲を持たないバンドの強みというか凄みを見た気がする。そんなヒット曲がなくったって、観客やファンの、心臓や脳髄や神経をヒットする曲を持っているバンドは強いのだ。
「ストレンジ カメレオン」や「ハイブリッドレインボウ」をやらなくったって、「ONE LIFE」がある。それって凄いことじゃないか。
名曲の地層がとてつもなく深い。いったい何段重ねなんだ、って感じ。


二度目のアンコールでは、さわお氏がひとりで出てきて、1曲歌ってくれた。
去年の《PIED PIPER》のツアー中に出来た曲で、20周年を意識して作ったという新曲。
この歌がまた格別だった。

「足跡のない道を選んで ずいぶん歩いたな」


「踏み外した崖っぷちで 腕をつかんでくれた
 雨上がりに見た幻を いまもおぼえてる」


「荒野の果て どこかに足跡残ってる
 それだけが それだけが それだけが 生きた証し
 それだけが それだけが それだけが 僕らの誇り」

ラフな聞き取りなので間違ってたら悪いけれど、こういう歌。
鼻腔の奥を激しく揺すぶられる歌だった。
タイトルは「雨上がりに見た幻」とのこと。
音源で聴けるときが来るのを待とう。