最後まで走りつづけた。
一度も手を抜かなかった。
ついにひとつの与太も飛ばさなかった。
あんなひと、ほかに俺は知らない。


なにをいったらいいかわからない。
ほんとのことだと思えない。
心構えも覚悟もなにもできていない。
なにをいっても薄ら寒い。


仕事が済んだら気が抜けて、次になにをしたらいいかわからない。


そうか、報告書を書くのか。
やることがあるのはまだましだ。


これを書いて判を突いたら、とにかく家に帰る。
ガードレールを蹴とばして帰る。
そのあとのことはよくわからない。