●笑って済ませろ
子どもが生まれて、育つにつれての変化について。
といってもその子の変化のことではない。
子どもが成長して変化していくのは当然のことである。
そうではなく、こちら、親側であるテメエの変化のことで、ひとつ。
日曜の昼間、NHKの「素人のど自慢」を見るのが苦痛でなくなったのである。
昔は「生理的に受けつけない」ーーと若い頃はこういう言い方をして、逆に多くのひとに不快な思いをさせたものだがーーそれくらい厭だった。
地方のホールに行って中継しているあの雰囲気、地元受けを狙う出演者、慇懃無礼なゲストの態度、全部が鼻についた。
シロートのカラオケ(演奏はバンドがつけているのだが)なんざ、なんだってわざわざ聞かされる必要があるんだ、と、
そういう気がしてた。
ところが子どもは「歌」が好きである。それも「お唄」みたいなものが好きなのである。
日曜の昼間はいつも「のど自慢」を見るのである。2歳の頃から。
でもまあこれを見てれば機嫌がいいなら、と我慢してつきあっていた。
すると、いつのまにか、全然苦にならなくなっていることに気がついたのだ。
かように、ひとのコダワリなんてものは他愛がない。
簡単に引っくりかえる。
俺は/私は、これだけは絶対にイヤなのだ、なんてことは実に少ない。
そう気づいてからの私は非常に柔軟である。というか、骨なしのチキンに近い。
異論に出喰わしたらすぐに自論は引っ込める。持論なんてものはほとんど持たないに等しい。
大抵のことは、笑って済ませて問題ない。
そう思って過ごすようになってしばらく経つ。
いまのところ支障はないようだ。