●笑って済ませろ

子どもが生まれて、育つにつれての変化について。
といってもその子の変化のことではない。
子どもが成長して変化していくのは当然のことである。
そうではなく、こちら、親側であるテメエの変化のことで、ひとつ。


日曜の昼間、NHKの「素人のど自慢」を見るのが苦痛でなくなったのである。
昔は「生理的に受けつけない」ーーと若い頃はこういう言い方をして、逆に多くのひとに不快な思いをさせたものだがーーそれくらい厭だった。
地方のホールに行って中継しているあの雰囲気、地元受けを狙う出演者、慇懃無礼なゲストの態度、全部が鼻についた。
シロートのカラオケ(演奏はバンドがつけているのだが)なんざ、なんだってわざわざ聞かされる必要があるんだ、と、
そういう気がしてた。


ところが子どもは「歌」が好きである。それも「お唄」みたいなものが好きなのである。
日曜の昼間はいつも「のど自慢」を見るのである。2歳の頃から。
でもまあこれを見てれば機嫌がいいなら、と我慢してつきあっていた。
すると、いつのまにか、全然苦にならなくなっていることに気がついたのだ。


かように、ひとのコダワリなんてものは他愛がない。
簡単に引っくりかえる。
俺は/私は、これだけは絶対にイヤなのだ、なんてことは実に少ない。


そう気づいてからの私は非常に柔軟である。というか、骨なしのチキンに近い。
異論に出喰わしたらすぐに自論は引っ込める。持論なんてものはほとんど持たないに等しい。
大抵のことは、笑って済ませて問題ない。
そう思って過ごすようになってしばらく経つ。
いまのところ支障はないようだ。

【LISTENING TABLE】

  1. Fairlife『パンと羊とラブレター』・・・浜田省吾、春嵐、水谷公生によるユニット。

 #「風のスカート feat. 曽我部恵一」・・・Aメロから浜田省吾独特のメロディーまわしが聴こえる。曽我部の、内に溜めた声が良く合っている。くぐもったスライドギターの音色も絶妙。
 #「鳥のように消えた日 feat. 奥田民生」・・・爽やかなアルペジオで始まるこの曲は、サビからの展開が見事に浜省節。民生本人の曲だとサラリと行ってしまうところを、泣きのメロが、ちょっと待てと後ろに引き戻す。間奏のスライドは軽やかで、これはこれで小気味よい。


パンと羊とラブレター