●携帯無宿

携帯の調子が悪い。充電がもたない。
通話を数本とちょっと長文の（といっても50字程度の）メールを打とうとすると途端に「充電が必要です」となる。
家にいる時間が短いので、必然的に充電してる時間が足りてない。
そういうこともあるだろうが、それにしても心もとない。

機種変更して3年。
それくらい経つとそんなものかとも思い、家電量販店の携帯売場を覗いてみた。
ちなみに私は10年来のPHSユーザである。
WILLCOM売場に行くと、以前に比べれば機種もいろいろ出ている。
SHARPのスマートフォン（Advanced [es] W-ZERO3、通称「アドエス」）は、やっぱり人気があるようだ。

店員の青年に訊いてみる。
「ええ、まあ、この新型が出てからだいぶ動きが出てますね」
ふうん。ガジェット好きとしてはかなり心そそられるが、そこまでの機能は持て余すようにも思う。
他のも訊いてみよう。

あの、オレ、これ（京セラのAH-K3001V、通称「京ポン」）使ってるんやけど、これの後継機種ってどれになるんやろ？
「あ、その次のが……これですね、いま1円で提供させていただいてます」
へ。そうなの。
「ハイ。で、その次の次になるのが、こちらでして」
ああ。これもちゃんと進化してるのな、とひと安心。

WILLCOMに社名変更してからけっこう頑張ってるんですか。
「んー、まー、いやー、ただ機能は限られてますけどね」
知ってます。チケットの電話予約とかもできないもんね。
「そうなんです。あとちょっと田舎行くと繋がりませんし」
まあねえ、でも都会で暮らしてるぶんには……。
「高いところがダメですね。高層のビルとかになると」
ええ、ええ。
「アンテナって、やっぱ基本、下に向かって狙ってますから」
でもですよ、ほら、モデムにもなるし。
「ただ、通信といってもめちゃくちゃ遅いですしねえ」
ええ、ええ、ええ。
「会社で営業のかたに持たされたり、というのがほとんどですかね。ま、ほんと、機能が限られますから」
うーん。キミはいったい売る気があるのか。

だんだん気分がわるくなってきたので、パンフレットを手にして早々にその場を離れた。
思えば虐げられつづきのケータイ人生であることよ。
番号教えるとき、070……と言うと、「ピッチですかぁ！　いまどき高校生も持ってませんよね」と言われたのが早5、6年前。
「なんだピッチじゃん。ケータイじゃないじゃん。ダメじゃん」
「ピッチって子機でしょ。子機、子機」
「もう、番号いっしょでもキャリア替えられるんだよ。……え、できないの？　へえ、さすがピッチ」
「写メで送っとくから。え？　見れないってなんで？　ピッチってダメなの？　なんでなんで？」などなど。
（女子高生口調になってるのはイメージです）

チクショー、みんな電磁波で脳みそグラグラに煮立てばいいんだーと呟いて、心の平穏を得る。
暗い。
（PHSは他の携帯電話に比べて、電磁波の量が一応10分の1だとか）

まあなんだっていいんだけど、電話なんて。
（って、こう書くとやっぱり負け惜しみにしか見えんな。ちがうんだよちがうんだよ）