●漂うならこんな音と


麗蘭……麗と蘭《2007年冬季限定 アコースティカルライブ「1+1」》@梅田Shangri-La


仲井戸麗市土屋公平、このふたりだけでツアーを回るのは初めてのことだそうだ。
アコースティックセット中心ということで、会場も椅子席になっている。


次々と(ほとんど一曲ごとぐらいに)持ち替えるギターの数々を見ているだけでも愉しい。
音色を聴いているだけで愉しい(しかしどれも良い鳴りするなあ)。


1+1、なのに引き算を重ねたようにシンプルな楽器編成。
そうすることによって、麗蘭の本質に内在している(と私が思っている)無国籍な情緒が、岩肌の露出した山のようにところどころで感じられた。
やっている音楽がブルース、ソウル、レゲエ、ボサノヴァ、サザンロック等々の多岐にわたるから、ということではない。
ブルースを愛し、ブルースから入りながら、どこかへ突き抜けていく自由さ、留まらない流れみたいなものを常々ふたりには感じるのだ。
それはかつて片岡義男が喝破した「ブルースを歌う者はーー身体は土地に縛られたが、土地を所有することがなかったがゆえにーー観念の人となった、ブルースは土着のものではない、観念の音楽だ」というテーゼに通じることのように思う。


アコースティックのギター2本だけで、これほど幅のある音楽が溢れてくるのだ。
野暮のカケラもない。
音の暖かさを含めて、クールの極みである。




1+1