●貧しき世界で生きるのだ


とある鳴り物入りのバンドのライブを見たのだけど、あまりのことに唖然。
少し期待していただけに、開いた口が開いたまま。キープ・オープン、ネヴァー・クローズド。
あまりにも内容がなさすぎる。貧しすぎる。


歌は何言ってんだかちっとも聴こえてこないし、
ドラムはドンタタドンタタ騒がしいだけでグルーヴのグの字も匂ってこない。
棹モノの諸君はネックから手が離れすぎ。
轟音バンドだからってそれでいいのか?


違うと思う。
何言ってるか分かんなくても、「何言ってるか気になるなぁ」って気にさせるのが感情の力ってもんだ。
もしくは何言ってるかなんて関係ないほどに、声や叫びがある種の美的領域に達しているというなら話は別だが、まったくそんなこともない。


バンド“ごっこ”を見てるみたいなのだ。
ルックスもいいし、動きも派手だから華はある。しかしいくら華があっても仕方ない。
いい音を出していても、もひとつ華に欠けるがゆえに煮え湯を呑まされているバンドは多い。
それだけに口惜しくさえある。
そんな私の感想はよそに、大した人気だった。
ひょっとしてグループサウンズってこんな感じだったのかな。
音像は違えど、本質は同じことなんじゃないか。
ちょっと真面目にそう思った。




さて、それとはまったく関係なく、フジファブリックの新曲「若者のすべて」が素晴らしい。


誠にしょうむないこの世の中で、好むと好まざるにかかわらず持久戦にいどまざるを得ない、アンラッキーでアバンダンドな若年層のやるせなさみたいなものが胸に来る。
そういう心象風景が非常に美しいカタチに昇華されて届けられている。


バンドの目鼻立ちがある程度わかってきたあとに、そういう思い込みの一切を凌駕する出来映えの曲が出てきたということでは、ある意味、くるりの「ばらの花」以来のことじゃないだろか。


[rakuten:plazahamada:10008600:image]






〆は、さらにまた別の、あるバンドのマネジメント/プロデューサー氏と焼鳥屋
スリリング、かつ、おもしろい、いい話をたくさん伺う。
深く眠れそうである。
またあした。