●共鳴宇宙で酩酊中

joe harp from altai



Bolot Bairyshev@心斎橋・鰻谷燦粋。


ロシア連邦アルタイ共和国に伝わる英雄叙事詩「カイ」の第一人者、“ボロット・バイルシェフ”来日公演。
共演は、ヒカシュー巻上公一氏と佐藤正治氏。


「カイ」というのはいわゆる“倍音”を駆使した唱法で、チベットの「声明」やトゥパの「ホーメイ」にも通じるもの。
ボロット氏は高音から低音、さらにその下の超低音まで、同時に3声、4声を出すことができるそうだ。
そこに巻上氏の変幻自在のボーカルと、佐藤氏のべらぼうなパーカッションが絡む次第。


凄かった。
ボロットさんの声がいったいどこから聞こえてくるのか、目の前にいるのに分からない。
超低音で歌うときは浪曲師を思わせる濁声ながら、同時に涼やかな高音ボイスが鳴っている。
超スペイシーでトリッピン。
ひとの声というものの深さに触れた思いがした。


終演後、物販コーナーで、ボロット氏のCD(先日、タワレコで品切れといわれた1stのほう)と、アルタイ製の口琴を買う。
口琴は昔買ったものが1本家にある。かろうじて音が出せる程度にすぎないが、改めて修練に励むのだ。
……というよりも、単純にモノとしての魅惑に弄されたというか。
木製のケースから微かに立ちのぼる匂い(サンダルウッド?)も中央アジアな感じ。


巻上さんご本人の薦めにより、ボロット氏登場以前の「カイ」を収録したアナログEPも購入
(局に戻って早速聴いてみた。こっちはほんとにお経みたいだった)。


お客さんが少なかったのは残念。
このあと、浜松、甲府とまわって、12月16日の日曜日は東京両国のシアターX(カイ)へ。
東京公演は梅津和時さんや、薩摩琵琶、尺八の使い手の方もゲスト参加するようだ。
機会があれば一見一聴一感の価値大なり。
http://www.makigami.com/bolot/


喉が、声帯がふるえる、その震動が相手なので共振してしまうと、音叉みたいにしばらく収まらない感じがする。
四十にして初めての音体験。いやはや。






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