●ぼんさん追いかけ日が暮れて


 仲俣暁生氏が「海難記」で言及していた橋本治の『小林秀雄の恵み』(http://d.hatena.ne.jp/solar/20071226#p1)。
 すごいね。胸騒ぎのする書きっぷりやね。こら読まんといかんって思うよね。


 で、本屋へ行ったところ、平積みされてるコーナーのなかの、広告批評が目に入る。
 こういうのってやっぱりシンクロニシティだなと思うのだが、最新号の特集は4人の女性の表現者たちを取り上げてあって、果たしてそこには川上未映子の名前があったのであった。


 他の3人は、蒼井優梅佳代タカノ綾
 さすが、いい顔ぶれ。タカノさんてひとは知らなかったけど、絵を見たら、ああ、この絵のひとかとは思った。
 たまに立ち読みはするけれど、買うのは何年ぶりかの広告批評。そういえば、頭のコラムは、やっぱりしっかり橋本治が番張ってて安心。


 さて、川上さん。
 インタビュー読んでみると、やはり相当意識的に言葉を追っかけてるひとみたいで頼もしい。
 その言葉との鬼ごっこを心の底から愉しんでやってはるから、ちゃんと緩急つけて落とすとこは落とそうとしはる。サービス精神でもあるんだろうけど、遊びは真剣にやらな面白くないというのがあるんやないかな。


 腕ごと壁に顔押しつけて「ぼんさんが屁をこいた」(関東やと「だるまさんがころんだ」?)ゆうて後ろ見て、「そこ! 動いた!」て“鬼”は大声出して、逃がすほうの“子”はゆっくりゆっくり近づいていって、「指切ったぁ!」て逃げていくときまで、どいつも、そらもう真剣やったやん。あれ、なんか遊びを投げてるようなやつおったらオモロないもんな(て、このひとの話のときは、つい大阪弁になってしまうが)。
 だからなんというか、もっと言葉を追いかけまわしてほしいなゆう気がするし、それ見ていたい気がする。


 ちなみに新刊で出てる『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』も横に置いてあったんだけども、ウェブ日記をまとめたやつ(http://d.hatena.ne.jp/garak/20071201/1196539686)をいま読んでて、そのあとは『イン歯ー』か『乳と卵』か、小説のほうを先に読みたい気がするので控えておいた。


 んー、『文學界』のバックナンバー、探そう。




追記:
 蒼井優のインタビューも、とても面白かった。
「もの作りの一員でいたいから」。いい科白。もの作ることのおもろさは他には替えがたいものがある。
 これ、わかるひとにはわかる。わからんひとにはわからんみたい。
 なんでかな。と思てたら、そういう話をしてないもんな。とゆうことに気づいた。
 もの作りおもろいで、て話すんやなくて、話してたら「ああ、もの作んのっておもろいんやな」と思えるような話をしてない。そうゆう話をしよう。せなな。と思った。そうゆう話をしたい、そうゆう話をしながらなんぞ作っていきたい、と。






広告批評 322号 特集:表現者たちー女の巻ー