●弦と潮の音


湯川潮音《2008春「弦とわたし」ツアー》@心斎橋クラブクアトロ


ギター、マンドリンバンジョーの桜井芳樹と、弦の四重奏(ヴァイオリン藤堂昌彦&沖祥子、ヴィオラ菊地幹代、チェロ徳澤青弦)という贅沢な編成での4都市ツアー。その2日目。


まだ東京公演を残しているということで詳細は省くが、ひとことでいうと「耳の滋養になる」ライブだった。
もともと楽器のような素晴らしい声を持っている方だが、バックの弦楽隊ともども一体化してた。
(その分、言葉がもっと意味を持ったほうがいいのかどうか、迷うところは正直あるのだが)


単身、イギリスに渡ってレコーディングしてきたというニューアルバムの曲も、全曲演奏していた。
このアルバムの音源を、少々早めに聴かせていただく機会をいただいたのだが、これがまた良い。
楽器ひとつひとつがちゃんと意味を持って鳴っている。
なかでもフルートがとてもよかったので、個人的にはこのツアー、《弦と横笛とわたし》としてもう一度やってもらいたいくらい。 


あと、ひとつ気づいたこと。
ライブでは定番となっているようだが、アンコールでカバー曲を披露してくれた。
この日は、The byrdsで有名な「Turn! Turn! Turn!」。
これまた凄くて。
著名な曲ということもあるのだろうけれど、自作のオリジナル曲とはまた別種の響き方をする。
なぜか。


たぶん、あれなんだな、他人の曲を歌うときは、やっぱり少しギャップがあるというか。
自分が作ったものじゃない分、どっかボーカリストとしての部分が突出していくようなところがあるんじゃないかな。
そうなったとき、幼少のみぎりから聖歌を歌っていたことは伊達じゃなくて。ハンパじゃなく強烈なもので。


このひとがやれば、巷にあふれてる企画モノのカバーコンピとかいくらでも凄いものが作れると思うのだけれど、それじゃあ自分で看板掲げてやってる意味がないものな。
やっぱりこのチカラワザは、アンコールのお愉しみとして、浴衣の裾から鎧がチラチラのぞいて見えるくらいにしておいたほうがいいかも。
そんなことは、まあ付け足しなのだけれど。


本人の弾き語りによるギターも良い。
まず単純に上手い。
「ボーカリストが弾くギター(ボーカルと相互補完的な響きをするギター)」としてかなりいいセンいってるのでは。


くるりの音博とかで聴きたいなあ。



付録:本日の「潮音語録」(ややうろ覚え)
  • 私はどうも、かなしいときに限って、ズンチャっていう曲を作る傾向がありまして……。
  • 好きなひとをなにかに例えるくせがあって、これは「巻き貝」と名づけたときの歌です。
  • インディーズで出した『逆上がりの国』というアルバムが、一時品切れになって、私も1,2枚しか持ってなかったんですけど、ネットのオークションとかでけっこう高値でやりとりされてて。……よっぽどオークションに出そうかと思ったんですけど。
  • ほんとうは皆さんに座って観ていただきたかったんですけど、そうもいかなくて前のほうの方だけ座ってもらった感じで。……今度はもっと“キャパシティのある女”になって帰ってきます。