●Accidents will happen.


日曜深夜から編集作業をしていて、一応のメドがつき、仕事場を出たのが月曜の朝7時すぎ。
途中で、交通事故の直後の現場に遭遇した。


若い男の子が交差点の真ん中近くに倒れている。
直交している小道がいくつもある大通りなのだが、そのうちのひとつの角。
大通りの歩道を走ってきた自転車が、横道から出てきたクルマと接触して転倒した模様。


周囲に4人の男性がいる。
おそらくひとりが事故の相手であるクルマの運転者。50歳前後くらいのおじさんだった。
あとの3人は自然と手分けして、このうえさらに別のクルマが突っ込んできたりしないよう、手を振って合図をし、交通整理をしている。
倒れている青年は意識もはっきりあるようで、自分で起き上がろうとしたりしていたが、頭を打っているのは確からしく、周りにいわれて横になっていた。
私もなんとなく傍に行き、なんとなく後続車をさばいたりしていたら、15分ほどで救急車が到着。
相次いでパトカーもやってきた。
事故の瞬間は見ていないので、その旨を警官に伝え、立ち去った。


数ヶ月前にも、ここよりひとつだけ南側の交差点で、まったく同じパターンの事故に出くわした。
そのときも事故の直後で、倒れていたのも似たような年頃の20代の青年だった。
そばにママチャリが置いてある。
いずれも自転車はほぼ傷ひとつなく、乗り手だけが倒れている状態。
誰が叫ぶわけでなく、ただ、少々おろおろしている中年の運転者がいるほかは、基本的に皆、無言である。
黙々と救急車が来るまでのあいだ、交通を整理し、ときおり倒れている彼に声をかける。
それ以外は誰も無駄な口を利かない。
誰かを待つという設定の不条理劇みたいに。
つくづく不思議な種類の静寂だったと思う。


わずか半年のあいだに2度、同じ界隈で同じ傾向の事故を見るというのは、よほど事故が多いのか、特殊な巡り合わせか。
少なくとも眠気は醒めた。