●あんたの要るもんあの子が持ってる


ミドリ@十三ファンダンゴ


初ワンマンライブ。
ミドリのことは書き始めると止め処がなくなる気がするので、今日のところは簡潔に記す。


新メンバー、ベースの岩見のとっつぁんの正式加入もあってか、サウンドはもう盤石な印象。
小銭氏のドラムとあわせて、抜群の安定感。
その分、はじめのキーボードは飛びまくれてる感じ。
後藤さんのギターも相変わらず凄い。なんであれだけ動きながらしっかり弾けるかな。


集まっていたのもいいお客さんだったのでは。
そりゃワンマンだものってのはあるけれど。
去年より女子が増えている気がした。
オープニング、後藤まりこ(敬称略)がステージに飛び出していき、上手のモニターに立って、いつものごとく客席を睥睨する。
あの強烈な目で。
前方の男ども、女子どもは、矢も楯もたまらず、ぐっと腕を突き出す。
後藤は、そのうちの手近なひとりの手をつかむと、5本の指を絡めて、ぐぐっと握る。
やがてその手は離れる。
しかし離れたあともその腕は、まっすぐに突き上げられたままだ(少なくともその曲が鳴っているあいだはずっと)。
なにかしら切実なものを感じる光景だった。


ステージ前のモッシュは熱狂的で、えらい騒ぎになっている。
その激しさはライブごとに増している気がする。
だが彼ら彼女らは、憂さを晴らすために暴れているわけではない。
まちがいなく、ミドリは何かを与えている。
ミドリから与えられる何かを糧にしている子たちがいるのだと思う。
発散ではなく交換しているのだ。
一方的なものじゃない。


彼女ら彼らが必要としているものを何か、後藤まりこが持っている。
それを分け合っている。
交換の仕方は少々荒っぽいけど、ほかにやり方を知らないだけ。
でもそれで全然かまわない。
「あのやり方」が最高。なんたってロックバンドだからな。
ステージでカロリー(と汗と涙液と体液やらなんやら)を交換する、そのやり方が最高なひとたちをロックバンドって呼ぶんだから。




もはやスタンダードとなりつつある「あんたは誰や」「うわさのあの子」「あいのうた」などなどに加えて、ニューアルバム『あらためまして、はじめまして、ミドリです。』の曲がとてもよかった。


特に、本篇終盤の4曲、「5拍子」「ハウリング地獄」「ドーピング☆ノイズノイズキッス」そして「POP」とつづいた流れは圧巻。
そのあと、後藤まりこは客の頭上から地面にすべり降りて、そのまま十三の雨の街に出て行ってしまった(らしい。俺のいたところからはよく見えなかったのだが、ひとに聞くとそうだったらしい)。


風邪とかひいてなければいいんだけれど。それだけが心配。






あらためまして、はじめまして、ミドリです。 セカンド 清水