●張りと緩みの一日


今日は昼の番組に、清志郎さんが生出演。
お迎えする前は、どういうものか、やっぱり尋常でなく緊張してしまう。
喉が渇いてカラカラである。
しゃべろうとすると、上顎の裏に舌が貼り付いて離れない。


とはいえ時間というものはやってきて、やがては去っていくものである。
約30分の出演時間はあっというまに過ぎた。過ぎてしまった。
氏が話したかったポイントについての、私の想像力不足は否めない。
内省自省猛省。


『忌野地図』は連載時に何度か目を通したことはあるが、完成本は未見とのこと。
出演後、ブースに呼ばれた。茶目っ気まじりの小声で「ちょうだい」とひとこと。
慌てて局に置いていた1冊をお渡しする。
版元から事務所にはお送りしているはずだけれど、どこかで取り紛れてしまったのかもしれない。
気に入っていただけるといいのだけれど。


以後、すっかり力が抜けてしまった。
気持ち両手ぶらりノーガード状態だったが、オンエアは無事終了。


雑用が溜まっているが、なんとなく身が入らない。
夕方、5時すぎから仕事仲間と連れ立って出かけることに。
だが、他の皆が目当てだった陶磁美術館は閉館時間を過ぎていた。
じゃあせっかくだし、どこかいい茶飲みどころでも探して近所を散策しようじゃないかということになった。


天気のいい初夏の夕方というのは、なかなかマジカルな時間帯である。
気持ちのタガも緩んでいる。
この無防備な心の構えがなにかを呼び込む可能性はある。
黄昏時は逢魔が時と言うし。


果たして。
南下して大川沿いを歩いていると、発見。



さすが、この散策隊の面子は引きが強い。
店構えだけで一発KOである。
ふらふらと吸い寄せられるように扉を開けて中へ。


床は板張りで、壁と天井は白。
シックな内装だけれど、手ざわりは温かい。手間のかかった雰囲気が漂っている。
窓はサッシでなく、木枠。
木組みの折りたたみ椅子も、見た目よりずっと掛け心地が良い。
真空管ラジオを改造したスピーカーでは、おおはた雄一が流れていた。



ダージリンティー美味。
チーズケーキ美味。
通うべし。


窓からの眺めを見れば、ご近所さんなら、なんとなくどの辺りかわかるはず。
もったいぶるわけではないけれど、ぶらぶら散歩のついでに“発見”してみては。
ピース。