●崩れ落ちた後に


録り置いていたドラマを2本。

まずWOWOWドラマ『PANDORA』の最終回。

精神的に崩壊する主人公の前後ーー張り詰めたテンションと、一転、抜け殻のように穏やかになった姿ーーを演じられるのは、三上博史ならでは。
医療ドラマや近未来SF風味といったものは後退して、権益をめぐる人間の欲を描く心理サスペンスに軸足が移っていったのは、仕方のないところかもしれないが、やや残念でもある。
その設定でしか描けないものを描くというよりは、どの設定でも結論は同じ的なところが、ま、少々。
とはいえ、達者な役者陣による演技合戦をみているだけでも愉しめた。

もう1本、『週刊真木よう子』#9「蝶々のままで♡(ハート)」。

脚本・演出:タナダユキ。共演:星野源
つきあっていた男に貢がされ、貯金をはたき、ついには会社の金にまで手をつけてしまった地味な経理担当のOLが、整形して田舎に逃げるが……という話。


金を貢がせる男の無表情っぷりがこわい。リアル。
星野源の朴訥とした表情、口ぶりも切ない。巧いなあ。
東京近郊とおぼしき田園風景は、どこか根岸吉太郎の『遠雷』を想起させる。


もちろん真木よう子は、いうまでもなくグレイト。
激しく感情を吐露するシーンも画になっててシビれる。