●Everyday I have the blues.


麗蘭恒例の京都磔磔公演2日目。
明日まである3DAYSライブなので、いつもの私なら「興趣を削ぐといけないので曲順には触れません」的な優等生的態度を貫くところなのだが、そんなこともゆうとれません。
それくらい、今夜もすばらしいライブだった。
なので、以下、曲にも触れつつ、感想をメモしておきたい。


明日観に行かれる方は、このあとは読まずにおいて。
明後日以降にぜひ。
行儀が悪くてすみません。
あしからず。



さて、去年は仲井戸"CHABO"麗市&土屋“蘭丸”公平のふたり、one+oneヴァージョンだったので、今年は2年ぶりに4人のバンドスタイルとなった麗蘭


オープニング(麗蘭のニューテーマ?)のライトヘビーなブルースから快調にすっとばす。
磔磔での年末ライブも今年で17年目だとか。
またちょっと新しいアレンジになった「ミッドナイトブギ」(公平のリフ! チャボのスライド!)をはさんで、3曲目の「Simple Love Song」で早くも場内はアンコールのような盛大な拍手に包まれる。
チャボも「忘年会と間違えてるんじゃねえか」と半畳を入れる。
矢野真紀に提供した「Good Time」をメンフィス・マナーにアレンジして聴かせたあと、早くもアドレナリン大放出ナンバー「真冬の熱帯夜」で、またも場内は第2のピークに。


ここでチャボがアコースティック・ギターに持ち替えてスローブルース、「顔」。
意外な、でも嬉しい選曲の「真夜中のカウボーイ」(これ、ほんと名曲。麗蘭の1stに入ってる)。


ここでチャボ、開演前の場内BGMはすべて磔磔の水島さんの選曲だという話をする。
リンゴ・スターの「Liverpool 8」が流れてて俺も嬉しくなっていた)
「そのなかにいまからやる曲も入っていてびっくりした」
「確かめたらまったく偶然だっていう……」
「水島と俺は赤い糸で結ばれているのか」
そう言いながら、ストーンズの「As Tears goes by/涙あふれて」をカバー。
去年の『1+1』から「Blue Blue」を経て、公平ボーカル曲、火を噴くようなふたりのギターバトルが堪能できる定番曲「あこがれのSouthern Man」へとつづく。


次は、オバマ次期米国大統領の勝利演説に着想を得た新曲。
「『Yes We Can』ってオバマは言うけれど、俺たちからすりゃ『Yes We Can』ていやぁそりゃ、アラン・トゥーサンなわけで、たぶんオバマさんも知ってると思うんだけれど……」と言いつつ披露してくれた。
チャボにしては珍しく、ポエトリーというよりはラップっぽくなるところもあって、ヨコユレにカッコよいナンバーだった。


つづいてすべてのブルースマン、ソウルマンに捧げるリズム&ブルース讃歌にして磔磔讃歌「今夜R&Bを…」。
エンディングのひとことは、やはりあの人についてだった。
「Next year..., someday..., he will comeback..., Mr.Sweet Soul...」


この「...someday...」のところで私は少し泣いてしまった。
去年とほとんど同じセリフを言わなければならなかったのは、チャボさんにとってなにより残念なことだったろう。
でもそうなのだ。somedayなのだ。
いつかきっとだし、いつだっていいじゃないか。“彼”が、“ミスター・スウィートソウル”が帰ってくるなら。


「救いの神、それはMUSIC」という煽りとともに、「ミュージック」で本篇は一旦終了。




アンコールではふたたび、ストーンズナンバー(というか、これはストーンズもカバーしている曲)「Harlem Shuffle」。
そして、タイトルをビートルズから借りた「Get Back」。
その次が、またカバー曲で「Are You Alright?」。
これが今夜最高の一曲だった。
オルタナ・カントリーの女性シンガー、ルシンダ・ウィリアムスの曲」に「俺が適当な日本語をつけた」とチャボは言って歌い始めたのだけれど、これがもう、演奏、ボーカル、訳詞、すべてが、身震いが来るくらいによかった。

Are You Alright? 君はそこにいるかい?
Are You Alright? 眠れてるかい? 食べているかい?
Are You Alright? 会いたいものに会ったかい?
Are You Alright? みんなとうまくやってるかい?


桜吹雪 三月 春
太陽の季節 八月 夏
銀杏並木 十月 秋
ジングルベル 十二月 冬
今年も暮れてくよ


Are You Alright? 欲しいものは何?
Are You Alright? 会いたいひとは誰?
Are You Alright? 行きたいとこは何処?
Are You Alright? 本当の望みは何?


桜吹雪 三月 春
太陽の季節 八月 夏
銀杏並木 十月 秋
ジングルベル 十二月 冬


Are You Alright? 君はそこにいるかい?
Are You Alright? 生きているのがわかるかい?
Are You Alright? いま、生きているのはわかるんだ


書き殴ったメモを起こしているだけなので、間違っているかもしれない。
しかしこれにはやられた。
帰ってきて、iTunesでLucinda Williamsの原曲を落として、ずっと聴いている。


ライブではその次に「Hello Good-bye」へと続いた。
曲が終わるとすべての照明が落とされ、天井に這わせたクリスマスの電飾だけが光っている。最高に粋な演出。

人間の価値は 誰がいつ決めるのだろう
どう生きたなのか どう生きるなのか?
人間の価値は 誰がいつ決めるのだろう
どう生きたなのか どう生きてくのか?


毎年−−2001年からこっちは、もうほんとうに毎年−−年末の磔磔で、そうだ来年はちっとはマシな年にしよう、ちっとはマシな人間になろうと思うのだ。
でもまあ結果は見てのとおり。
まったく「まぁ そんなわけで 来年もよろしく」というほかない。


今夜も麗蘭の宴は、最後の曲「ミステリー」で夏への憧憬を描きながら終わっていった。


まぁそんなわけで、来年もよろしく。


(文中、ほぼ敬称略)




麗蘭 works West (Dig)