●夜の公園


公園の話になるとネットをにぎわす世界で一番小さな公園が、また取り上げられていたけれど、私も近所で思わぬところで小さな公園に出くわした。
東京からの帰り、新大阪から地下鉄に乗り換えて、最寄りの駅の二つ手前で降りた。
なんとなく歩きの足りない気分だったので。


この辺は、大阪のキタの都心から一駅という土地なのだが、意外に、またはそれ故に、人影はまばらだったりする。
そもそも私はこういう、真ん中から一駅、二駅、三駅外れたあたりという土地柄が好きだ。
もともとの生まれがそうだということもある。
東京でいえば、池袋に対する要町、江古田。
新宿に対する中野、参宮橋、幡ヶ谷、笹塚。
渋谷に対する駒場三軒茶屋、中目黒。
目黒に対する武蔵小山
東京駅に対する月島、水天宮、門前仲町
ニューヨークでいえば、ブルックリン。
パリやロンドンでいえば……どこなのかわからないけれど、そういう場所ってあると思う。
なぜだかそういうところにいると落ち着くのである。


さて、そんな街はずれをふらふらと歩いていると古いモルタル仕立ての長屋が並ぶ一画に出た。
そこの5坪ほどのスペースに、ブランコ、鉄棒、雲梯、ジャングルジムがいちおうひと揃いある公園があったのである。
囲っていたガードの名残だろうか、石の重しみたいなものが周囲に置いてあるが、特に道との区分けもない。
ただ、それらの遊具が置き忘れられている、そんな感じの不思議な場所。


向こうに見えるのは梅田のホテル阪急インターナショナル。
その手前の電信柱、裸電球、申し訳程度の芝生。
それから草食恐竜の化石みたいなジャングルジム。
都会のエアポケット。
21世紀ののび太たちの冒険が始まるのはこんなところから、なんだろうか。