●備忘日録 2009.1.28-2.5


仕事が立て込み、息継ぎする間のない日々がつづく。ブログの更新もままならず。
なので1週間ばかりの出来事を備忘を兼ねて記録しておきます。

  • 1/28(水)

市政モニターになってアンケートに答えよとの封書が、大阪市から届く。自転車行政についてなら山ほど言いたいことあり。お受けする旨の返事を投函。


午後、MASS OF THE FERMENTING DREGSのコメント収録。
神戸出身、現在は女子二人組編成になっているバンド。
女の子が、ごくふつーにロックをやってるだけという佇まい。少年ナイフの正統な嫡子か。ちょっとでもセールストーク的なことを自分から話し出さねばならないということに、限りなく照れてしまう感じ。きわめてナチュラルで初々しい。


夜、天神橋筋商店街から逸れた路地にある焼き鳥屋で呑み。とあるバンドのマネジメントと歓談。とても音楽を感じる方である。したたか酔う。
局に戻ったはいいが、机に突っ伏して眠ってしまった模様(何名かに目撃されていた)。未明に目覚め、そそくさと帰宅。

  • 1/29(木)

ファイル管理をきちんとしていないので、MacBookのハードディスクは常に満杯状態。
なにか編集モノを手がけるとハードディスクにはそれなりの空きスペースが必要になる。
そのたびにDVD-Rに焼いたり慌てて削除したりしてやりくりしていた。
今度のビンタンガーデン(1時間の完パケ番組)の編集にあたり、さすがにそれでは間に合わなくなったので、外付けのハードディスクを購入。
USB接続だけで動く。外部電源なし。文庫本よりひとまわり小さいサイズに250GBで9800円。こういう機器って、ほんとに1年で半額ぐらいになっているペースだな。


新年会。@北新地CLUB KARMA。二次会はパスして帰局。作業は山積み。

  • 1/30(金)

午後イチ、サカナクションのコメント録り。Vo.&G.山口一郎氏。
頭も良いし感覚も冴えてるナイスガイ。自分たちのやっていることをしっかりと話すことのできるひと。
アルバム『シンシロ』。曲のバリエーションも豊富になったが、ひとつの曲のなかで聴ける起伏も変化に富み、ゆたかになった。だれることなく最後まで行ける。個人的には後半、「黄色い車」以降が特に好み。


夜、シアターBRAVA!へ。中島みゆき《夜会 vol.15〜夜物語〜「元祖・今晩屋」》の初日。
始まってしばらくしてから、そういえば○○○の「○○○○」の話が下敷きにあるって前に聞いてたがな、と思い出した。
幕間のうちに、ケータイから青空文庫に行ってダウンロードして読むべかとよっぽど思ったが、それも姑息な気がした。
で丸腰両手ぶらりで後半に挑んだら、やっぱりわからない。
これほどさっぱり歯が立たないとは。
とっかかりが掴めないと、こちらの集中力も保たないのである。
なにより「教養がないのって哀しくも口惜しいことだなあ」と痛感。


普段、どんな表現に対しても、わかる/わからないでは対していないつもりだったのだが、これはそういうのを凌駕してた。
「わかってたらもっと愉しめるかもしれないけれど、わからなくたって充分楽しい」てなことをよく言うけれど、そういうおためごかしも意味なし。まったく通用せず。
できればもう一度観たい。とりあえず、明日は本屋に行って「○○○○」を探そう。
帰局して編集編集編集。朝の空気を反芻反芻よく吸う。

  • 1/31(土)

朝日新聞の土曜版Be1の1面に東急文化村社長・田中珍彦氏。
《夜会》の翌日なので、妙な符合を感じる(《夜会》の東京でのホームタウンは長らく、Bunkamuraシアターコクーンだった)。
プロデューサーの鑑みたいな言葉の数々は、やや優等生的に映るかもしれないが、印象に残った。
ふたつ挙げておく。

「これが正しいと決めたら失敗しないようにして正しい方向にもっていく。立場の高い人、経営者は時代が変わったらそれに適合するスキームを組み立て、崩れ落ちないようにする。それが役目。ただ、10年たったら、当初の方針を変えてもいい」

「こんな仕事、感情が勝たないとできません」

うん、リアルな実感じゃないかな。


午後、やや生命の危機を感じるほど朦朧としたので仮眠を摂る。


夜の番組のBBSで、話題の「給付金」について訊いてみた。
もらうかもらわないか。使うとしたら何に使うか。
いろんな声が寄せられて興味深かった。
なかには「反対している人がいることがよく理解できない」「いらないといっている人はもらわないでほしい」という書き込みもある。
こういう意見がやっぱりあるんだな、と改めて認識。
なるほど、子供だましとしか思えないやり口−−「1万2000円やるからとっとと使いな。あとから消費税は上げるけどね」−−がまかり通るわけだ。

  • 2/1(日)

フラワーカンパニーズ@心斎橋クラブクアトロ。素晴らしいライブ。
ラジオのほうではライブ収録、あと新聞の音楽評でも取り上げさせていただくことに。
ワンカットだけステージ写真も必要なもので、それは私が撮ることになった。
最初の数曲分だけここからというつもりで、最前エリアで写真撮ってたら、興奮して離れられなくなった。
なにかといえば「金八先生」の話を持ち出す鈴木氏がおかしい。
「桜中学に生徒として入りたい。定時制っていう設定だったらありだと思うんだ」と力説する姿に半端ないものを感じた。


終演後、不思議な居酒屋(餃子を看板に掲げているものの、ほかのメニューも店内の壁に所狭しと張りまくり、アピールポイントがぼやけまくってる。おまけに味が微妙)でメシを食う。
スタッフ、DJ仲間と「ラジオとテレビの生番組の作り方の違い」という話題になる。
なるほど、映像のある/なしも大きいが、「時間上、絶対に押せないテレビ」と「まあ、なんとでも融通の利くラジオ」という時間感覚の違いも、意外にそれに匹敵するくらい大きいのかもと思う。

  • 2/2(月)

午前中、NHK-BSを観ながら、構成台本を打つ。
NFLスーパーボウルの生中継をやっていて、そのハーフタイムショウが今年はBruce Springsteenなのだ。
逆転につぐ逆転で、試合の方も見せ場が多く面白かったが、負けず劣らずスプリングスティーンも凄かった。
豪華ホーンズあり、ゴスペル隊あり、スティーヴ・ヴァン・ザントとの寸劇めいた掛け合いあり。

M1. TENTH AVENUE FREEZE-OUT
M2. BORN TO RUN
M3. WORKING ON A DREAM
M4. GLORY DAYS

いまの還暦周辺のオヤジたちは総じて元気だが、この人は破格に力強い。


こちらは情けないが、眠気のせいで背中全体が痛む。

  • 2/3(火)

今日は東京で、BUCK-TICKのインタビュー。
最新作『memento mori』は、ケチャっぽいリズムを使ったタイトル曲をはじめ、実に多彩なバリエーションに富んだ快作。
聴かずに遠ざけていた人にこそお勧めしたい内容(私も数年前、アルバムでいうと3枚前まではそうだった)。


新大阪の書店で目に付いた新書『本質を見抜く力 環境・食料・エネルギー』を買う。
養老孟司氏と竹村公太郎氏(この人は元国土交通省河川局長という肩書きの方)の対談。
車中で前半を読む。
養老氏は「エコロジーもすでにイデオロギーと化している」と言っている(たぶん)。
すでに実体を離れ、観念が先走る運動のひとつになっているのではないか、と。
それを“モノ”で引き戻そうとして、この手の仕事を引き受けて喋っているような気がする。
本質を見抜く力―環境・食料・エネルギー (PHP新書 546)


それにしてもこの4週間で、東京への日帰りが5回、松山・車中一泊行が1回。
さすがにカラダ的には移動が堪える感じ。

  • 2/4(水)

夜、神戸スタークラブへ。General Head Mountainという、宮崎のスリーピースバンドを観に行く。
エモーショナルな演奏と歌。
“西南のeastern youth”と勝手に呼ぶことにする。



のち、このライブに誘ってくれたレコード会社の諸兄と三宮でご相伴にあずかる。
ウコンの力」「マクドナルドのクオーターパウンド」「ダイワの赤ウインナー」「参勤交代」「名古屋化」「発泡酒(流通量が味覚を決定する)」「橋元府政」「通称松尾レコード(仮)」などなど多岐にわたる話題が飛び交い、刺激的かつ莫迦莫迦しい会合となる。いやはや愉快。

  • 2/5(木)

同僚ディレクターが制作したジャックスの特集番組を遅ればせながらモニター。
中盤で、リイシュー盤を担当したレコード会社のディレクター氏への電話インタビューするパートがあって、そこでは一応「当時の音楽シーン状況」を訊いたりはしている。
だが、そこだけである。他には、そういううがった話や解説、説明のたぐいが一切ない。
その潔い構成が成功している。


あの強烈な声と詞と演奏を残したジャックスというバンドに、このオンエアのわずか一ヶ月前に初めて接したというDJが、身ひとつで向き合い、自分のなかから出てくる言葉だけを当てに相対している。
徒手空拳ならではの嘘の無さがよかった。
それは、早川義夫というひとの音楽への向き合い方と通じるところのあるものだから。


しかし『ぼくは本屋のおやじさん』が意外なところで役に立ったものである。
ジャックスの音楽には当初怖じ気づいたDJ嬢だが、早川義夫氏が書いたこの本を読んだら、次第に音楽のほうにも興味が湧いてきたのだそうだ。
ぼくは本屋のおやじさん (就職しないで生きるには 1)


余談ながら、晶文社から出ているこの本は、たしか「就職しないで生きるには」というシリーズの一環を為していたと思う。これはなかなかいいシリーズだった。
1970年代当時、「就職しないで生きる」という発想が、たしかにオルタナティブで積極的な選択肢として存在していた時期があったのだ。
これが80年代に入ると、なんだか単にラクして生きるというモードになって、フリーターがもてはやされ、90年代にハシゴを外され、派遣切り、フリーターの生活圧迫が声高に語られる現在に至る、と。


さて、『ありふれた奇跡』。
第3回から今日の第5回まで、きっちり観てます。話も動いていて、思うところ多々あり。ゆえにまた改めて。