●Birth of チビノリダー


ちび1号に自転車を買う。彼にとっての初自転車である。


「補助輪は最初からないほうが上達が早い」という聞きかじり知識にのっとって、「コマなしにするか?」と訊いてみるが「いや」という。
タイミングをずらしては何度も「ところで、コマなしでええんちゃう?」と振ってみるが、やっぱり「いや」という答えがすかさず返ってくる。
友達のを借りて何度か乗っている経験からして、コマ付きをガラガラと漕いで進むのが愉しいところなのだろう。
無理強いは止すことにした。


考えてみれば自分は、自転車の補助輪を外して乗れるようになったのがいつだったか記憶にない。
コマありの16インチだかの自転車を、近所のタコ公園の角のところに駐めて遊んでいたら−−それほど広い道ではなかったのだが、通りかかったトラックが内輪差に巻き込んでいったのだろう−−戻ったときにはぐちゃぐちゃに壊れていた。それは覚えている。


そこから、たしか小学五年のときだかに買ってもらったブリジストンモンテカルロまで、自転車に関する記憶が途切れている。
ちなみに当時のスーパーカーブームに便乗して、シフトレバー付の五段変速装置やら、リトラクタブルライト(!)なんぞを搭載したゴテゴテのそのモンテカルロは、中学に上がると同時にすぐ乗らなくなった(これは教訓として残っている)。


だからまあ、自転車を操作するという根っこのところの歓びを、ちび1号が感じることができたなら、それだけで上々だなと思う。
奴のファーストバイシクルは、MIYATAの18インチに決定した。