●TV Bros.
「忌野清志郎 追悼」号のTV Bros.を見たら、表4がこの人の広告だった。
野暮は言うまい。
が、コピー文句の薄っぺらさが目立つのはいかんともしがたい。
「ほんとうのことを言うのに、大きな声でいう必要はない」んだよ。
気を取り直して中身を見る。
内容は、各連載のあちこちでさりげなく(ちっともさりげなくないか?)清志郎の思い出に触れてある造り。
だがやはり、特集ページが読み甲斐がある。
珠玉のロックエッセイ「瀕死の双六問屋」を連載していた頃、マネージャーだったアフロ之助氏(最高の音楽人。俺からみればスーパーマネジだった)が語る清志郎のエピソード。
そして編集担当だった四角氏との対談。
どちらも、かなしくも笑える話に満ちていて、堪らないものがある。
それから、巻頭にある細野晴臣氏の言葉がよかった。
爺さんになったら渋いブルースのアルバムをやろうよ、と
提案してたんだけど、
あまりピンときてなかったみたいだった。
「渋い」というミュージシャン的発想がないんだろうな。
だって清志郎は詩人に属する芸術家だったからね。
そうだなあ、きょうび「詩人」て自分で名乗るやつにロクなのはいないから(一部の確信犯を除く)、清志郎はそうは言わなかった−−自己規定は「バンドマン」だったり「ブルースマン」だったりしてた−−けど、たしかにそうだなあ。
* * *
担当してるレギュラー番組(土曜の深夜の枠)で清志郎特集をやろうと決めた(ほんとは2週間前に決めていた)。
その選曲をしているとあっというまに時間が過ぎていく。
ああでもないこうでもない、これじゃ2時間に収まらない、と迷いながらも、ようやく大枠ができてきた。
清志郎の持っていた多彩な面を、「ロックとロール」「毒とユーモア」「愛とスウィート」「深みと苦み」に分けて紹介していこうと考えている。
合間に、いくつかのフックを打ち込む気でいるが、基本は曲がすべて。
最初の1曲は決めた。
最後は……どうしよう?
んー、やっぱり3時間、いや4時間は欲しい。
といったって、ほんとは何時間あったって足りない。