●Undefeated CASAR!
ピレネー山岳をめぐる2日目。
アンドラ公国の首都アンドラ・ラ・ヴィエイユを出て、フランス国内のサンジロンに戻る。
上り坂が50キロ超、そして、おそらく下り坂がそれ以上あるコース。
序盤から積極的に逃げを打ったのが、フランセーズ・デジュー生え抜きのベテラン、サンディ・カザール/Sandy CASAR。
一時は10人を数えた逃げ集団は、やがて4人に絞られる。
カザール、ルイスレオン・サンチェス(ケース・デパーニュ)、ミケル・アスタルロサ(エウスカルテル・エウスカディ)、ウラジミール・エフィムキン(アージェードゥゼル)。
エフィムキンは、チームメイトのノチェンティーニがマイヨジョーヌを着ていることを大義名分に先頭を引こうとしない。
3人プラス1でまわしながら先を目指す先頭グループ。
残り5キロを切ったところで、まずアスタルロサが飛び出す。
サンチェスが追いつき、一旦落ち着く。
と、その瞬間、不意を突いてエフィムキンがダッシュ。
それまで引かなかったのは監督からの指示もあってのことだろう。
けれどそれにしても、ずっと3人の背後について足を貯めておいてここでトップを奪おうというのは−−実況Sascha氏の言葉を借りれば−−あまりに「えげつない」所業。
そいつぁ正義が許さないぜとばかり、あたかも必殺シリーズのごとく、エフィムキンを追うアスタルロサ、サンチェス、カザールの3人(それぞれイメージでは、藤田まこと、山崎努、沖雅也。微妙に似てないか?)。
ゴールまで300メートルというところで、カザールがスパートをかける。そのままエフィムキンを突き放す。
そうだ、お天道様はちゃあんと見ているのだ! あばよエフィムキン!
と思いきや、しっかりとカザールのスリップに入って抜け出たサンチェスが横に並ぶ。
スプリント勝負は……
……ルイスレオン・サンチェス。
結果からいえば、下りに滅法強いサンチェスが、自分向きのステージで勝つべくして勝ったような印象。
それはそれで見事。
だがここは、最初から最後まで実に果敢にアタックしつづけたカザールをこそ称えたい。
エスケープグループ内での駆け引き、貸し借りの心理みたいなものがはっきりと見てとれて、これも面白いステージになった。
総合順位に大きな変動はなし。