●SCHLECK Brothers stand on
ツール・ド・フランス2009、第17ステージ。
ひさびさにちょっと早めに帰ってきて、最後の1時間を生で観た。
やっぱりロードレースはリアルタイムで観ないといかんなあ(まあ、どんなスポーツだってそうなんだろうけれども)。
戦前の予想がどうであれ、それでもなにが起こるかはわからない。
予想をなぞらえる展開になろうと、ひっくり返すことになろうと、どちらにしたって「それ」が起こるまではわからない。
この高揚と不安と緊張感に勝るものはそうはない。
ということでシュレック兄弟。
がんばった。
もちろんコンタドールは、最後のコロンビエール峠ののぼりで独走していける力は持っていたはずだけれども、それを使わなかった。
僚友クレーデンを待ったということもあるだろう。
それでも、前には行かなかった。
なんといってもそこまでずっと先頭を引いてきたのは、フランクとアンディのシュレック兄弟ふたりである。
背後からうかがいつつ、コンタドールが前を引くことはついになかった。
そうやって、まずは協同して未知なる敵、ウィギンスを引き離した。
さらに、共通のライバル引き離しの儀が済んだあとも、コンタドールは4人グループの後尾に控えたまま。
力を使おうとしない。
そういうふるまいをしてきた以上、たとえゴール前の時点で力が有り余っていようとも、前には出れない。
前に出る資格がない。紳士として。
この辺が自転車ロードレースの妙というか綾というか、一筋縄では理解しがたい部分。
とはいえ、それも余裕があるからこそできること。
明日のタイムトライアルで、シュレック兄弟を引き離す絶対の自信がコンタドールにはある。
……と思っていたのだけれど、レース後のコメントを読むと、少々様相が違ってくる。
コンタドールはアンディとのタイム差を少しでも広げるためにコロンビエールでのアタックを成功させたかったらしい。
だが「(ついてこれない)クレーデンにがっかりした」。
なるほど、ブリュイネル監督に宥められてシュレック兄弟グループのなかに留まったのか。
たしかにここで足を使ってタイム差を稼ぐか、それとも温存して明日のT.T.に賭けるか、難しいところなのだろう。
たしかにアンディ・シュレックはT.T.を得意とはしていない。
だが、去年のサストレのように、モチベーションに駆られたサイクリストは思わぬパフォーマンスを発揮することだってある。
ともかく、なんとかアンディ・シュレックには、明日のT.T.での遅れを最小のものに留めてもらいたい。
そのうえで、しあさって土曜日の大一番、モンバントゥー頂上ゴールの第20ステージで雌雄を決してもらいたい。
まだ、である。
まだわからない。勝負のゆくえは、まだ。