●備忘日録:映画『空気人形』


ひさびさに8時間眠った(たぶん今年に入って二回目?)ので、すこぶる調子が良い。


試写室で映画『空気人形』を観る。


美しいが、甘い映画ではない。
優れた映像美を満喫できる(リー・ピンビン、グレイト!)ということもあって、口当たりは悪くない。
むしろいいのだけれど、それを補って余りある(?)苦みが、すぐに口いっぱいに広がる。
その苦みが、映画が終わるまでに、果たして抹茶のそれのように昇華していくかどうか。
個々人によって異なる、その味蕾の違いによって好き/嫌いの分かれる映画ではあるかもしれない。
私は断乎、支持するけれども。


是枝監督にとって紛れもなく新境地といえる内容だが、主演のペ・ドゥナなくしては決して撮りえなかったであろう映画でもある。
生に惑わされる女達と、対照的に、死に傾斜していく男達が印象に残る。


局に戻ったら感想を訊かれたので「んーと、ある意味、『人魚姫』」と応えると、同僚の女性の目がきらりんと輝いた。
「……みたいな話」と付け加えたのだけれど、聞こえてなかったかも。


ペ・ドゥナも、空も水も街もゴミも美しくて、もの凄く哀しくもなる映画だった。