●Back to Home, Get Radio-Life?


きのうの続き。
マイコミジャーナルの記事。きちんと要点を押さえて書かれてあるので読みやすい。


AV機器は"AV危機"、ユーザに必要なのは"欠乏感" - JVC・ケンウッドの新戦略


キーマン、JVC・ケンウッド・ホールディングス 執行役員常務 新事業開発センター長 前田悟氏の言葉。

「テレビでラジオを聞くことはできない。
また、家のなかにラジオがなくなっており、サザンオールスターズのラジオでの中継をするのに、車で首都高を回って聞いていたという話も聞くほど。
RYOMAは、これを直感的なインタフェースで切り替え、ラジオも手軽に聞くことができる。
これによって、失われていたホームオーディオの復活目指したい」

「AV機器は"AV危機"の状態にある。
テレビ事業では赤字となっているメーカーが多いし、大手メーカーが出す製品は右ならえの状況で、価格競争に陥り、日本企業から新規商品が出ない。
RYOMAおよびM-LinXは、あらゆるものに満足を感じているユーザーに対して欠乏感を与える商品であり、価格競争に走りがちな売り切りビジネスからも脱却できる製品と位置づけている」


さて、ラジオの番組制作者から見た、この新商品を考える上でのポイント。

  • 「ホームオーディオ」の復権

  その需要があるかどうか。需要を喚起できるかどうか。
  昔ながらの、家族団欒のなかにラジオが、テレビが、……という姿はイメージしづらいが、
  ひょっとしたらこの大不況のなか、Back to Home的なエートスはあるかもしれない。
  家族、友人らと寄り集まってボードゲームに興じる、そのBGMという姿は、個人的には悪くないと思う。
  (それこそ花札やりながらね@「サマーウォーズ」)

  • FMだけでなく、AMも聞けるということ。

  当然だろう。電波環境がクリーンになれば、トークメディアとしてのAMの優位性は高いものがある。
  いい状態で聞けることを望む。

  • ポータブル/モバイル環境への可搬性。

  HDDレコーダーでもあるのだから、ラジオの番組を大量に録音することはできるだろう。
  それを切り分けて、デジタルプレイヤーにダビングすることができるのか? 
  できるとしてボタンひとつで容易にできるものか?
  さすがに、リスナーを単一のリスニング形態に押し込めることは得策ではないだろうから。




これらの案件をクリアすれば、あるいは相応の需要が見込めるかも云々……なんてことを、ついついマーケッターヅラして言っちゃいそうになるけど、そいつぁなんともおこがましい言い方だ。オラが言っちゃあなんねえだ。
JVC・ケンウッドさんがどこまでやってくれるにしても、何度もいうように、流れてくる番組がつまんなかったら意味がないのだから。


そうだ。もう一度、「ホームラジオ」という発想に立って作ってみる番組があってもいいかもしれない。
「家族みんなで聞けるラジオ」って、アナクロすぎて、かえってワクワクしないか。
映画『パイレーツ・ロック』のことも想起したら、そんなことも思った。


ともあれ、来春の発売を待つ気持ちは高まる。
しかし、春まで持ちこたえられるかなぁ、わしら。
……という気は、正直、ひたひたとしているけれども。
(わしら、というのは日本の放送業従事者の、末端の制作者を意味)