●神のない世の楽園バナシ


次々と迫りくる締め切りの波に寝る暇もなしとひーひー云いながら、資料集めに寄った本屋で発見。
遠藤浩輝の『EDEN -It's an Endless World!-』17巻。


いまだに買いつづけてる数少ないコミックスのひとつ。
なにせ壮大な話なので1巻だけ取り上げてどうこう云えることはないのだが、現代の南北格差の問題を未来の世界に照射したようなエピソードが随所で出てくる。
今回、前半では、フリーランスの傭兵チームが、捕らわれた仲間を救い出そうと凄腕の暗殺者たちと繰り広げる闘いと、主人公が連なる家系が営む麻薬カルテルの内部での熾烈な抗争が描かれる。
後半では、北米アラバマの難民キャンプで、極右の白人至上主義者たちと黒人のギャング団のあいだで苛まれるヒスパニック系住民の話が出てくる。
相変わらず、半端な救いは一切ない。
だが、今作のエンディングには一抹の光が。


毎回、裏表紙の見返しに書かれている作者によるエッセイも良い。
周りでこれを読んでるという人に会ったことがないのが不思議である。
ここ十年のあいだの最重要マンガのひとつだと思うのだが。




EDEN(17) (アフタヌーンKC)