●崖の向こうで、too "fine" life
京都、北白川のウワサのブックストア「ガケ書房」を初めて訪ねる。
http://www.h7.dion.ne.jp/~gakegake/
とある取材に関連してのことだったのだが、仕事が済んだあと、ぐるぐる棚をまわるのがほんとうに愉しかった。
某ヴィレッヂヴァンガードも私は好きだけれど、あちらはやや気が急くところがある。
溢れかえるPOPの波にちょっとあっぷあっぷしてしまうというか。
そこへいくと、ガケ書房。リラクシン具合が際立っている。
店主・山下さんがおっしゃる、“fine”を具現化したいという気持ちが、そこここに満ちている。
いやあ愉しかった。
壁につきささっているクルマ、弾きまくりギター、冬眠してしまった亀たち……。
もう、工夫のひとつひとつ、なにもかもが愉快である。
わざわざと出向いていく価値、充分ありの場所。
ちなみに今日は、しばし呻吟した末、3冊購入。
- 「宮脇壇 旅の手帖」宮脇彩 編 彰国社
建築家・宮脇壇氏が残した旅先でのスケッチや言葉を、娘さんが編んだ本。
宿泊先のホテルの部屋をコンベックス(巻尺)片手に実測して書かれた見取り図がたのしい。
妹尾河童氏の一連の著作(「河童が覗いたヨーロッパ」等々)を想起させる。
でも、宮脇氏の鉛筆主体のタッチは、とても味がある。
彩色された風景スケッチもいい。
薄いけれど色の乗りの抜群な紙質はめくっているだけで笑みがわいてくる。
個人的掘り出し物。Thanks、ガケ書房。
啓蒙かまぼこ新聞
らもさんの出世作を完全収録。
文庫での抜粋版しか持っていなかったので即決。
帯にでっかく踊る「大っきらいだ 広告なんて!!」の文字が痛快。
それに、解説の文中で村上春樹がおこなっている分析ーー「実在性を消してまわって」いる中島らもは「本質的なてれ」を有しており、「てれて、てれて、放っておくとそのままどんどん物事の泥沼的側面にはまりこんで抜けだせなくなる」、だから「物事の本質を意識的に稀釈していくことで自己を救済しようと努めている」のだーーも非常に正鵠を得ていると思う。
「ノルウェイ」が気の毒なくらい売れてしまう前年、ギリシャとイタリアへの長い旅行に出る直前、村上春樹はこういう文章も引き受けていたのだ。
- 雑誌「HB vol.1 2007年夏号」 『HB』編集部
http://taco.shop-pro.jp/?pid=4961784
http://d.hatena.ne.jp/hbd/
森山裕之氏のインタビュー、向井秀徳が「高田馬場」について書いた寄稿が載っている。
一応、本の紹介の意味でASIN打っといたけど、もちろん、できればお店に行って買うに限る。
3月には長谷川健一のCD4枚組ボックスセットが店頭に並ぶとのことなので、また伺いたい。