●2008年のニューヨーク炭鉱


11月は急な別れが多い。


午後、不意にある報せを聞き、やや自失となる。
身体のなかのなにかのブレーカーが落ちたような感じ。


それほど親しかったわけではない。
基本的に仕事の上でのつきあいだった。
だが彼は、(ショウビズ好きは数多いても)“音楽”好きは意外に少ないこの業界で、実績やらコンセプトやらトレンドキャッチ能力以前に、マインドで話のできる得難い人間のひとりだった。


人間は誰だっていつかはこの世からいなくなる。
だからそれに抗議しようとは思わない。
ただ、それにだって順番というものがあるはずだ。
あまりに若い者の退場は、理不尽で悔しい。


「a love song」をリピートし、「ニューヨーク炭鉱の悲劇」を繰り返し読む。
供養というのではない。
事実が自分のなかでなかなか着地しないのだ。




SWING FOR JOY  中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)