●続いてゆくのは


ひさしぶりの更新になる。
4/10以来だから3週間空いた。


そのあいだに更新してる日は、後日になってからの後づけアップなので、リアルタイムでは丸々3週間ぶりなのである。
それだけでも、ずいぶんぶりな気がする(「ずいぶんぶり」って「のいずんずり」に語感が似てる)。

実際、去年の9月に「よし、気合い入れてブログ続けてみよう」と決めてから、これだけあいだが空くのは初めてだ。


そもそもどうしてブログを続ける気になったかというと、それにはいくつか理由がある。
リターン記念に今日はそんな話を。


   *  *  *

ひとつは、わがの本の告知・宣伝のため。

その時点で、どうやら年明け(今年=2008年のこと)には『忌野地図』の連載をまとめて単行本にできそうだ(というか、しなきゃね)という話があった。
そうなると、all by myselfなジシュ者(自主制作・自主流通の自主ね。自首ではない)としては自前の宣伝媒体が必要だ。
ならばブログを活性化させるのも、ひとつの手じゃん。
そう思ったのが第一の理由。
川上未映子氏がブログを始めたのも、自分のCDを宣伝するためだったらしい)


   *  *  *

つぎに、そのとき読んでいた本の影響がある。

内田樹氏と鈴木晶氏の公開インターネット往復書簡『大人は愉しい』。

大人は愉しい (ちくま文庫)

このなかの、たしかプロローグにあたるパートで、ブログの効用について内田さんが書いているところがある。
それに感じ入ったのである。
ネット上の公開日記や公開日誌のたぐいが、「単なる記録とは異なる意味を持ち得る理由」が、簡潔に書かれてある。
毎度ながら、これがなかなか素敵な文脈の文章で、なるほどと深く納得した次第。


遠くにいて日頃は話すことのない、そういう旧友に向けて報告するつもりで書くべしと思った。
もしくは、毎日仕事その他で顔を合わせる人たちにしたって、そう膝突き合わせて話をする機会があるわけでもない。
ならばやはり、そういう日々のよしなし事を報告することに意味がないわけじゃないだろう。
「こんなんありましてん」
で、「こないな風に思いますねん」
という一次情報。
で、会ってメシ食ったり呑んだりする機会があったなら、「こないだ書いてたアレやけどな」と話が転んでいくのに任せればいい。


   *  *  *

みっつめ。

これは少々口幅ったいのだけれど、なんぼかラジオのこと、できればラジオの仕事のことについて、書いておきたいという気持ちがあった。
自分でも無我夢中&五里霧中でやってきていることなので、よくわかっていないことだらけではある。
なのだけれど、書くことで少しは対象化できるかもしれない。


“ラジオ的”な視点で物事を切り取って、再構成して、ひとに提示するという一連の行為。
その行為が指し示すものは、安手な業界バナシや内輪ネタを超えて(ま、そういうものが少しは含まれることもあるけれど)、ちっとは普遍的な意味を持っているのではないか。
森羅万象を五・七・五で切り取る「俳句」のアプローチが数百年生き続けているように。


あとは、そう、ラジオの仕事に興味を持つひとの役に立つことも、いくらかはあるかもしれない。
あまり後進の育成なんてことは考えないのだけれど、それでもこのまま縮小傾向にあるのを黙って見ているだけというのは、いささか惜しい。


基本的に「教わるより盗む」「すべては見よう見まねから」「あとは実践あるのみ」という仕事だ。
そういうところは旧い職人気質みたいなものが残ってる。
ところが時代はデジタルである。
ジングルからフラッシュ作り、トーク編集まで、PCの編集ソフトでなんでもやってしまうような時世ではある。
これではなかなか伝わるものも伝わらないのではないか。
そういう危機感もある。


たしかに技術は現場でないと磨けないことが多いけれど、それにしても、ともかく、スピリットがここにあるのかないのかどうなのか。
それだけでも探求する価値はある。


そもそもが儲かるような仕事ではない。
だからこそ、面白いことをやらないと釣り合いなんて取れない。

これは活字の世界のひとの言葉だけれど、たとえばこういうことでもある。

「編集は胸ときめく仕事だけど見合う報酬が得られない。絶対にやり抜くという強い情熱と努力が必要だ」
   トム・マシュラー氏
   (ノーベル賞作家の出版を多数手がけた辣腕の編集者。ドイツ生まれ。南仏在住。74歳)
   朝日新聞 2008/3/26「ひと」欄より

んー、ちょっと話がデカくなったけれども、ま、そういう目論見も片隅にはあるってことで。


以後、精進します。


   *  *  *

埋める日々。

空いていたあいだの日々のつれづれ事も、ヒマをみて埋めていきます。
先月・4月は、ここ半年つづいてた息もつかせぬ労働の日々の一応のファイナルを飾る、ちょいとした花火のごとく怒濤のひと月でありました。
なのでそれなりに思うところも多く。



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