●本とロックと人生と


本の雑誌」といえば、私の世代にとっては「広告批評」「噂の眞相」と並ぶA5判のカルチャー誌(since '70s)の代表格。
創刊したひとの顔が見える雑誌で(それぞれ順に挙げると、椎名誠氏、天野祐吉氏、岡留安則氏)、いずれも販路を独自に開拓してきたインディーズ誌というところも共通している。


そもそも、リトルマガジンと呼ぶのか、このサイズの雑誌に個人的に愛着がある。
A5判というとほかにも「ミュージックマガジン」、「話の特集」、(初期の)「宝島」、「ビックリハウス」などなど(中森明夫がやってた「東京おとなクラブ」とかもそうだったっけ)。
まあ、いってみれば「文藝春秋」も「世界」もサイズは同じなんだけど、あれは分厚すぎる。


総合誌とリトルカルチャー誌の違いは厚みにある(ほんとかな)。
リトルマガジンというのは、だいたい80ページから120ページくらいで、厚さは8ミリくらい。
対するに1.5センチから2センチクラスを誇るのが総合誌
この7ミリ強の差が、サブカルチャーメインカルチャーとの違いだ(ほんとかなあ)。


ちなみに私も因縁浅からぬ「LuckyRaccoon」は、最初B6判でスタートして、5号からA5サイズになり、22号からはふたたびB6サイズに戻っている。
いまは無き、関西が誇る伝説の情報・カルチャー・コラム誌「プレイガイドジャーナル」も83年に判型を大きくするまではB6判だった。


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さて前置きが長くなったけれど、その「本の雑誌」の最新号(2008/06・タコ足とおせんぼ号)を書店で見かけることがあったら、ぜひ手にとってみていただきたい。
巻頭コラム「今月の一冊」の“今月の一冊”が、なんとなんと、拙著『忌野地図』なのであります(敬礼)。


というのも先々月、「青山 南と坪内祐三が50年代アメリカンカルチャーを語る」という特集が気になって、ものすごくひさしぶりに「本の雑誌」を買ったのである(熱心な購読者でなくてすみません)。
すると、入っていた読者アンケートのハガキのテーマが「これがロックだ!本」。
これぞロックと思う本を挙げよ、とある。
うむむむ。
これもなにかの巡り合わせと、手前味噌ながら自薦の文を添えて(かなり恥ずかしかったが)『忌野地図』を送ってみたのである。


その後、3月・4月と怒濤の暇なしウィークがどどどと経過。
ひさしぶりに立ち寄った旭屋書店@梅田で「本の雑誌」を見かけた。
表紙に「特集=本とロックが人生だ!」と書いてある。
おおそういえば、ロック本を特集するってのはこれか、と思い出し、手に取って表紙をめくって、あわわわと驚愕した次第。
1ページまるまる使って紹介してくれているのである(海より深く敬礼)。


しっかりと内容に目を通していただいた上での紹介というのは、文を読めばすぐわかる。
本好きの巣窟もしくは虎の穴、あるいは活字中毒者の味噌蔵、「本の雑誌」社のかたに読んでもらえたということだけでも有り難いことなのだが、これはもうなんというか、最初に書いたように、昔から好きだった雑誌だけに半端でなく嬉しい。


きちんと礼状を書かねばと思いながら、先にここで触れるのはどうかとも思ったのだけれど、取り急ぎ御礼申し上げたい。


本の雑誌、万歳。






本の雑誌 300号