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●忸怩たる思いの効用

先日来、我が狭量なる頭にこびりついて離れない映画『歩いても 歩いても』。 私は傑作だと思うが、別の意見を聞いたのでちょっと考えてみた。 別の意見とは、いわく煎じ詰めれば「普段なにもしないでいて、あとになってから悔やんだりして、『間に合わなかっ…

●ジャージとロケンローと軽井沢

映画『ジャージの二人』を観る。 堺雅人と鮎川誠のふたり演じる親子が、北軽井沢の山荘で過ごすなにもしない二夏が描かれている。 鮎川さんは、言わずとしれた、SHEENA & THE ROKKETSの鮎川さんである。 おふたりのコメント収録という仕事があって、その備え…

●「誰も知らない」を知る

日曜の深夜未明、映画『誰も知らない』を観る。 ずっと以前にビデオに録っていたのだが、なぜだか手が出ず、そのままにしていた。 私は、もともと是枝監督の作品には腰が引けるところがあったのだ。 それが先日観た『歩いても 歩いても』でかなり払拭された…

●空と田園が広くて

『週刊真木よう子』#10「ひなかの金魚」。 SLY MONGOOSEの音楽と、広角で捉えた映像が、さびしくて良い。 土佐弁(?)で切る啖呵も恰好よい、少女マンガ家よう子の自立しようとする意志がやや切ない。 対する男の情けない感じと、三多摩地区とおぼしき空の…

●歩いても歩いても、辿り着かない間に合わない

是枝裕和監督の新作『歩いても 歩いても』を試写観。 傑作。 静かに激しく、深いところを揺さぶられた。 向田邦子ワールドを思わせる、いまの日本のテレビ界からは消え失せてしまった上質な「家庭劇」を観た気がする。 話としては小津の「東京物語」的な普遍…

●スター来店

こういうの、来て、いったいなにするんだろう。 とりあえずサマーセーターと素足にローファーは必須で。 しかしすごい営業だな。

●本当も嘘もテキーラでカクテル

山田太一脚本の新作ドラマをテレビ東京系でやっていた。 放映は3日前、5/28(水)の夜。 タイトルがいい。 「本当と嘘とテキーラ」。 こういう、謎を孕んだ含みのあるタイトルが最近のドラマには少なくなったなと思う。 (みんなハリウッド映画みたいに直截…

●崩れ落ちた後に

録り置いていたドラマを2本。 まずWOWOWドラマ『PANDORA』の最終回。 精神的に崩壊する主人公の前後ーー張り詰めたテンションと、一転、抜け殻のように穏やかになった姿ーーを演じられるのは、三上博史ならでは。 医療ドラマや近未来SF風味といったものは後…

●100年もたない建物に住む

ビデオで、何周遅れかの『おせん』を観る。 蒼井優、しっかりはまり役になってる感じ。 「〜でやんす」という語尾は、『ぜんまいざむらい』に出てくる「なめざえもん」に似ている。 もたいまさこさんが女大工を演じてる。 こんなに多くのセリフを闊達に喋る…

●Crazy World

『週刊真木よう子』第8話「恋泥棒ヨーコ」。 掟ポルシェ、宮崎吐夢、浜野謙太、怪演。 真木よう子は言わずもがな(今回はキュート路線)。 サリバン先生ネタ、かなりスレスレ。 レノンとヨーコのベッドインネタ(「こぶ平に戻せ!」)。 バカバカしすぎて笑…

●Helpless World 2

『週刊真木よう子』第7話「立川ドライブ」。 正名僕蔵、好演。 真木よう子は言わずもがな。 キャバクラのホステス洋子と、彼女に入れ上げた警官まっちゃんの方向ちがいの思慕。 昔のATGにあったような、もしくは大友克洋が短編で描いてたような、要は70年代…

●おせん泣かすな

日テレ系の『おせん』。 蒼井優見たさに観始めたものの、1,2回と、狂言回し的セーネンのあまりの“安さ”に、かなり萎え気味だったのは事実。 だいたいサブタイトルからしてこれだもの。 第壱話「食は人を信じる心……対決! 天然若女将VS電子レンジの女王」 第…

●welcome home, your return.

昨日のチョコバー/サッカーボーイCMが引き金になって、世界のCMをいくつか見てみた。 たしかにYou Tube向きのコンテンツではあるだけに、たくさんアップされている。 そのなかからひとつ。 http://www.youtube.com/watch?v=qvK30FvdTOA 「バドワイザー」で…

●マジックナンバー“15”

勤め先の廊下にはVHFの地上波5局のモニターが流れている。 そこで夕方、よくある「世界のCM特集」的な企画をやっているのを見かけた。 音声はオフになっているが内容を理解するのに問題はなかった。 池のそばのグラウンドで、ひとりでサッカーをやっている9…

●ヘヴンズドアをノックせよ(主が不在でも)

映画『I'M NOT THERE』の試写を観た。 ロックン・ロール史上における最高の詩的表現者。 奇妙なしゃがれ声の持ち主。 世の中の矛盾に異議を申し立てることを恐れないプロテストシンガー。 とんでもない嘘つきの少年。 鋭すぎる言葉でひとを怒らせてばかりい…

●あ、ザ・ニュースペーパーが、

「徹子の部屋」に出てる。 小泉、安倍、福田と直近の三総理揃い踏み。 彼らがテレビで存分に持ちネタを披露できる日が来ないと、ニッポンのTVはモンティパイソンにもサタデーナイトライヴにも、到底及ぶことはできないんじゃないか。 そう思うと徹子、恐るべ…

●男の子なら旭、女の子ならルリ子

微力ながら肩入れして見てた『歌姫』。 ついに最終回。 非常に最終回らしい最終回を迎えるであろう展開になってきての最終回。 結論から申しますと、“丸顔”小池栄子が「先に中村に行ってるから」と鈴・相武紗季にいとま乞いして去るあたりからは、もうラスト…

●基本的にすべては無駄に終わる

いろいろ手を尽くしたけれど、結局はすべて無駄だった、というような話に弱い。 どうも宿命的に惹かれるところがある。 誰だったか、伊藤比呂美だったかが、ある特定のシチュエーションにグッとくるそうだという話を、山田太一が引用していたのだけれど、う…

●ぢごくの淵まで掘り下げて

そういえば今日の午前中は、借りたDVDにて『大日本人』を観ていたのだった。 結論からいうと、思いのほか愉しめた。 エラそーにいうけれど、松本の狙いも着想も悪くないと思う。 しかし。 特に前半、大佐藤が「焼くことになりました」と言って“第弐”へ向かう…

●花も実もある作り事 again

『歌姫』第七回。 太郎(長瀬智也)の過去を知る女、美和子(小池栄子)の登場で急転回を見せるストーリー……というのがこのところの見どころ。 ではあるのだけれど、それとはまた違って、感心したのはやはり方言の生かし方。 土佐言葉が飛び交うなか、東京か…

●花も実もある作り事

日曜日である。 朝方に帰ってきて7時半に眠り、正午に目覚めた。 出かけてゆく家族を見送ると、家にひとり残された。 ぼんやりと遅い朝食を摂りながら、溜まっていたビデオを観る。 といってもドラマが3本あるだけ。 『歌姫』の3回目と4回目(ようやくこれ…

●一勝一敗

ほとんどテレビを(特に地上波の民放は)見ないので、たまに見る機会があるとCMとか凝視してしまう。 なるほど、斉藤和義が出てるというCMはこれか、とかいろいろ発見がある。 今クールは、TBS磯山&長瀬智也コンビの『歌姫』を見るつもり。 先週の初回を見…

●花も実もある作り事 again

『歌姫』第七回。 太郎(長瀬智也)の過去を知る女、美和子(小池栄子)の登場で急転回を見せるストーリー……というのがこのところの見どころ。 ではあるのだけれど、それとはまた違って、感心したのはやはり方言の生かし方。 土佐言葉が飛び交うなか、東京か…

●つまんないとおもしろいのあいだにある静かな部屋

試写会で『クワイエットルームにようこそ』を観る。松尾スズキ監督の第2作である。 いい映画だった。哀しい映画だった。 といっても非力な映画ではない。重みも力もある、ボディブロウのように効いてくる映画だった。 回想として出てくる主人公(とその彼氏…